2024/07/07 21:36

日本各地、「熊」に関するニュースが多いですね。
美深の辺りでもヒグマが出没していまして(例年以上に!)、川釣りに行くにも今年はおっかなびっくりです。

ところで今年上半期の直木賞がそろそろ発表されるようですが、先日、去年下半期の受賞作、河﨑秋子さんの「ともぐい」を読みました。
この本、帯には「新たな熊文学!」などと書かれていて、今時分ぴったりの本です。
「熊文学」なるものがあることを初めて知りましたが、吉村昭の「羆嵐」なんかがそれなのでしょうね(三毛別のお話)。



読むとなるほど、熊や野生の描写がすごい。
各種レビューでも、熊が怖い、犬が可愛い、タイトルの意味、最後が?、など様々な意見があるのですが…読み終えて真っ先に思ったのは「レヴィ・ストロース!」でした。

レヴィ・ストロースという人は、アマゾンの未開社会の人々を研究して文明社会と比べることで、常識だった文明社会の優位性を否定した学者さんです。未開の人々の野生の知恵や考え方には文明社会に劣らぬものがある、ということです(たぶん)。

もうこの事自体が「ともぐい」の内容そのもの。
途中出てくる骨格標本は文明社会の医学であり、熊爪の施す応急処置はブリコラージュ。贈与や交換も物語の重要な要素になっていたり、神話的展開が出てきたり。
こう捉えると、最後の結末も、神話由来なのかなとか、二つの社会の調和が生き延びる術なのかなとか、考えるのが楽しくなります。


…なんのこっちゃ、ですね。
いいんです。誰も書いてなかったので書いておきたかったんです、この思いつきを。
満足しました。



今日は熊に怯えながら釣りしましたが、なにも釣れませんでした。野生の知恵が足りないのでしょうか…ね。



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